デザインを依頼したとき、著作権はデザイナーと依頼主どちらにあるのか?
デザインを依頼するときに、著作権関連で気をつけることはあるのか?
こんな疑問に、デザイン歴7年のてれすた(@telesta_design)がお答えします!
「デザインを依頼するために、著作権について最低限必要な知識を知っておきたい」という方のための記事です。
この記事では、「最低限知っておきたい著作権の基礎知識」「依頼事に注意すべきこと」をわかりやすくご紹介します。
これさえ知っていれば大丈夫な情報をお届けしますので、最後まで読んで学んでいってくださいね。
デザインの著作権とは
著作権とは、デザイナーの創造物や思考を守るための権利です。
わかりやすく言うと、「デザイナーが作ったものを勝手に使われないようにするためのルール」みたいなものです。
せっかくデザイナーがいいものを作ったのに、無断で転用されたり、パクられたりしては困りますよね。
デザインでお金を稼ぎ、生活していくことも難しくなってしまいます。
そうならないために法律で守っているという感じです。
デザイナーを守るための権利なんだよ!
デザインを依頼した場合、著作権はどっちのもの?
デザインを制作してもらった場合、著作権はデザイナーのものになります。
そのため、デザイナーの許可なく下記のことをしてはいけません。
やってはいけないこと
- 二次利用する
- デザインを勝手に変更する
- デザインを勝手に販売する
- デザインを複製する など
これらをすると著作権違反となるため、注意が必要です。
著作権は2種類ある
著作権は、下記の2種類に分類することができます。
- 著作権
- 著作者人格権
それぞれの役割が違いを理解しておかないと、依頼者として違反をしてしまう可能性があります。
順番に解説していくので、しっかり理解していきましょう。
著作権
著作権は、デザイナーが経済的な利益を得ることを保証するものです。
また、著作権は下記の11つの権利を含みます。
著作権に含まれる権利
- 複製権(印刷や写真などで複製する権利)
- 上演権・演奏権(上演したり、演奏したりする権利)
- 上映権(公に上映する権利)
- 公衆送信権・公の伝達権(公衆送信、放送する権利)
- 口述権(口頭で公に伝える権利)
- 展示権(展示する権利)
- 頒布権(複製物を販売する権利)
- 譲渡権(複製物を譲渡する権利)
- 貸与権(複製物を貸与する権利)
- 翻訳権(翻訳する権利)
- 二次的著作物の利用権(自分の著作物を二次利用された場合、二次利用した人と同じ著作権を持つ権利
- 参考条文:著作権法第21条~第28条
このような権利を総じて「著作権」と言います。
著作権は譲渡することができ、著作権を売ることで利益を得ることも可能です。
死後50年後まで有効となります。
著作者人格権
著作者人格権は、デザイナーの社会的評価や名誉、感情を守るためのものです。
また、著作者人格権は下記の3つの権利を含みます。
著作者人格権に含まれる権利
- 公表権(いつどのように公表するか決める権利)
- 氏名表示権(どのように氏名を公表するか決める権利)
- 同一性保持権(勝手に変更されないための権利)
- 参考条文:著作権法第18条~第20条
このような権利を総じて「著作者人格権」と言います。
著作者人格権は譲渡することができません。
こちらも、死後50年後まで有効となります。
著作権と著作者人格権の違いとは?
著作権と、著作者人格権についてざっくり理解できたかと思います。
もう少し理解を深めるために、両者の違いを下記の表にまとめてみました。
まずは表をご覧ください。
著作権 | 著作者人格権 |
---|---|
経済的利益を守るためのもの | 名誉や感情を守るためのもの |
譲渡できる | 譲渡できない |
死後50年後まで有効 | 死後50年後まで有効 |
申告せずデザイナーに与えられる | 申告せずデザイナーに与えられる |
このように明確な違いは「どんな権利か」「譲渡できるかどうか」の2点になります。
デザインを依頼した場合に譲渡してもらえるのは「著作権」のみなので、著作者人格権に含まれる権利を得ることはできません。
著作権を譲渡してもらったからなんでもやっていいというワケではないので、注意しましょう。
著作権に何が含まれるのかを理解しておこう!
これだけは気をつけて!注意すべき3つの事例
最後に、依頼主が注意すべきことについて、3つの事例をもとにご紹介していきます。
デザインを依頼したときに依頼主がやってしまいがちな著作権違反は、下記の3つです。
やってしまいがちな著作権違反
- 著作権譲渡を受けずに、勝手に変更や二次利用をした場合
- デザイナーが嫌がることをして、訴えられた場合
- 制作物に使用されている写真やイラストを、二次利用した場合
順番に解説します。
著作権譲渡を受けずに、勝手に変更や二次利用をした場合
著作権を譲渡してもらわずに、デザインを変更したり、デザインを二次利用してはいけません。
これらをすると著作権違反になります。
たとえば、納品されたデザインを一部変更して再度利用したり、デザインをどこかに販売したいのであれば、著作権譲渡してもらう必要があります。
少しだからと勝手に変更して使用してしまうと、訴えられる可能性があるので注意しましょう。
デザイナーが嫌がることをして、訴えられた場合
譲渡してもらえない権利の「著作者人格権」には、同一性保持権というものがありましたよね。
それは、デザイナーの意に反する変更をしてはいけないという内容も含まれるため、デザイナーが嫌がることをするのは全てNGとなります。
たとえ変更したことで作品が良くなったり、自社に利益をもたらしたりプラスの影響が出た場合でも、デザイナーが同意していなければ全て著作権侵害となります。
著作権は譲渡してもらえたとしても、著作者人格権はデザイナーにあります。
ここを理解しておくことが重要です。
著作権を譲渡してもらっていても、気をつけてね!
制作物に使用されている写真やイラストを、二次利用した場合
制作物に使用されている写真やイラストにも、注意が必要です。
依頼したデザイナーが撮った写真やイラストであれば、そのデザイナーに許可を取ればOKです。
しかし、どこかのサイトのフリー素材を使用していたり、別のカメラマンに依頼していた場合、その写真やイラストを使用するには、その人たちに許可をもらう必要があります。
つまり、デザインはデザイナーに、写真はカメラマンに、イラストはイラストレーターに著作権があります。
デザイナーが二次利用してもいいと言っていたとしても、イラストや写真の著作権はまた別ということです。
制作物にはそれぞれに著作者がいるんだよ!
個別に許可をもらうことはなかなか難しいため、二次利用する際には、自社で用意した写真やイラストを使用すると安心です。
わからなければデザイナーに相談してみるのもいいでしょう。
著作権以外の注意すべき点は、こちらの記事で解説しています
著作権は申告罪である
ここまで難しい話をしてきました。
ただぶっちゃけると、著作権違反で訴えられることはほとんどありません。
著作権は申告罪といって、デザイナーが訴えを起こさなければ罪にはならないんです。
そのため、依頼主とデザイナーの話し合いだけで完結する場合がほとんど。
著作権侵害で訴えられるという事例は、個人や中小企業ではほとんどありません。
しかし大企業同士であったり、影響力のある会社や個人であれば大問題となります。
もし著作権について分からないことがあれば、再度この記事を読んで、しっかり理解していってくださいね。
この記事を役立ててもらえたら嬉しいな!
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